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白い雪【名探偵コナン】

第11章 揺れる警視庁1200万人の人質


2週間後の11月7日。

「……あ、佐藤刑事!みんなも」
「あ、瀬里奈お姉さんだー!」

私は先々週にパレードを行なっていた道で、少年探偵団のみんなと佐藤刑事に遭遇した。

「瀬里奈ちゃん。どーしたのこんな所で」
「先週くらいかな?ニュースで見ましたけど……郵便局強盗があったんですってね。今日は実況見分ですか?」
「ええ、実は光彦君がここで落としたビデオカメラを誰かに拾われたみたいでね。もしかしたら……っと思って」

笑ってそう言う佐藤刑事。私は少し目を伏せた。

「そう、ですか……」

実を言うと、私は思い出していたのだ。3年前の丁度今日、観覧車に仕掛けられた爆弾で殉職した“松田刑事”のことを……。

──3年前、捜査一課の強行犯係に異動して来た刑事がいた。彼の名は『松田陣平』。彼は元々爆発物処理班だったが、自分の元同僚であり親友の『萩原研二』を7年前の爆破事件で亡くしていた。
それからは未だ捕まらない7年前の爆弾犯を個人的に追い続けるために爆弾事件を担当する特殊犯係に転属を何度も希望していたが、一旦頭を冷やすために強行犯係に回されたのだ。

そして、彼が来て7日目のこと。警視庁にある1通のFAXが届いたのだ。

『我は円卓の騎士なり
愚かで狡猾な
警察諸君に告ぐ
本日正午と14時に
我が戦友の首を弔う
面白い花火を
打ち上げる
止めたくば
我が元へ来い
72番目の席を空けて
待っている』

松田刑事はその文章から爆弾が仕掛けられている場所は2つあることを見抜き、1つは杯戸町のショッピングモールにある巨大観覧車に仕掛けられていることが分かった。
だが、爆弾が爆発する3秒前に2つ目の爆弾のありかのヒントが示されるため、松田刑事は『自分の命』と『その他大勢の命』を天秤にかけることとなる。
彼は迷わず『その他大勢の命』を選び、爆発する直前に佐藤にメールで2つ目の爆弾の場所を伝え、自分は爆破に巻き込まれて死んでしまった。

「……」

携帯を見つめたまま動かない佐藤刑事に、私はきゅっと胸が締め付けられる想いだった。
その携帯には以前、彼女に見せてもらったことがある“あのメール”が入っている。松田刑事から最期に送られて来たメールだ。
『米花中央病院』と書かれたその下には──

『追伸
あんたの事 わりと好きだったぜ』

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