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境界線。【安室透夢小説】

第15章 *残り香*


「...何をしてたって....昨日の夜、友人の家に泊まって、朝、ポアロに行って、その後、人と会っていて、今まで、安室さんとデートでしたけど、それがなにか?」

友人だとか人だとか曖昧な表現にイライラする。
あぁ、嫌だ。
こんな些細なことで苛立ってしまう自分に。
こんな態度で くのえさんに愛想を尽かされてしまうかな。

「.....夕方、ポアロの前で親しそうにしていた彼ですか?」

「...あぁ、見ていたんですね。」

「否定もしてくれないんですね。彼の方が歳も近そうだし、時間だって自由に作れるだろうし、悔しいけど僕と並んでる時よりそれっぽかったよ。だいたい...今の くのえさんの香り、そんなに香水の匂いが移るほど一体何をしてたんだ。」

くのえさんを睨み付けてしまった。
俺の心配とは裏腹に くのえさんはニコニコと微笑んでいた。

「安室さん、嫉妬ですか?ふふふ。嬉しい。安室さんって大人だから嫉妬とかしないのかなぁって思ってました。」

「...笑い事じゃないだろ!君はだいたいっ....んっ。」

感情的になり前屈みになったところで くのえさんに唇を塞がれる。

「... くのえさん!キスなんかじゃ誤魔化されないぞ」

「...ごめんなさい。なんだかすごく可愛く見えてしまって。あの人は違いますよ。 翠くんのお友達です。たまたまポアロの前であったんですよ?」

「...え。そう...なのか?本当に?」

「はい。それに、泊まった友人の家というのは、園子ちゃんの家ですよ?だから、シャンプーの匂いは園子ちゃんの家のものだったからです。夕方に会ってた人は 翠くんのパパとママです。パパが煙草を吸うから匂いが付いてしまって、安室さんと会うのに煙草の匂いなんて嫌だなって思ったからパパの持ってたコロンをかりたんですけど...心配かけちゃってごめんなさい。」




...........ってことは、あれか、1人で勘違いして勝手に嫉妬して苛立ってたのか。


「...... くのえさん。本当にごめん!!!その、疑うようなこと言って!その、穴があったら入りたいよ...」

「入らなくて大丈夫ですよ?それだけ私のこと好きなんだって嬉しかったですから。嫉妬する安室さんも見えましたし。ふふっ。」
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