第2章 アカツカ王国の章
チョロ松君は、おろおろしながら私の方を見つめてるけど、完全に私を助ける手立ては無いみたい。
完全に、幸福の姫はスカーレットに決まった。
その時、聞き慣れた声が聞こえてくる。
おそ松「うわぁ、カラ松お前こんなトコで何してんの?可哀想に、そっちの子震えてるよ?」
声のするほうを向くと、間延びした口調だけど、豪華な装飾の服を着て、王冠をかぶった如何にも王子様って感じのおそ松が居た。
ニートな彼と違う所は、のんびりとした口調の中に、何処か絶対的王者の風格が紛れている。
ニートな彼の場合、優しく包み込むような包容力があった。
私は、どちらかと言えばニートのほうが好き。ついつい、甘えちゃうんだよね。
おそ松「大丈夫?で、何があったの?」
おそ松君は、片手でカラ松君の剣を私から遠ざけると、私とカラ松君の間に入る。
カラ松「そ、そちらの赤いレディーが幸福の姫で、その女は、幸福の姫を出し抜こうとした、不届き者だ…」
おそ松「で、それって兵がきちんと警備してないのも、問題だよな?その女の子だけの責任じゃないよ。その子殺すんなら…」
その瞬間、周りの空気は一気に冷たく凍る。
絶対的王者である、おそ松が獲物を狙うライオンのように目を細めた。
おそ松「お前も殺しちゃうかもね、カラ松ゥ?」
その瞬間、騎士カラ松は涙目になりつつ唾を飲み込んだ。
驚きのあまり私も固まっていると、おそ松は私の方を見てにっかりと笑った。
おそ松「お城に興味持ったんだよね?それなら、メイドとして働けばいいよ」
にこり、と私を見て笑う王子は、やっぱりおそ松だった。
いつも、私を励ましてくれた優しい笑顔のまま。
その笑顔を見た瞬間、急に寂しくなった。