第19章 とある街のbarで
それは、ベンは飽きたら捨てられる港々の女達と同じ感覚で、私をこの船に乗せたのでは、という考え。
私はもうすでに、ベンに惚れてしまっているから、もしそうだとしたら、悔しいし悲しい。
そんな事を考えていると、なんだかガヤガヤと人の声が聞こえて来た。
「おぉ、なんだベン帰ってたのか!」
「あぁ」
会話が聞こえてきたかと思えば、急に背後から抱きしめられた。
「ひゃああ!?」
「ハハハッ!面白いな~。ずいぶんと可愛い女だが、誰なんだ?」
とにかく驚いて固まってしまった。
「お頭、今日から茉都莉を船に乗せようと思うんだか…」
「なぁにぃぃぃ!?ベンが女を!?お前、珍し「お頭…いいか?」
今私を抱きしめているのが赤髪だとわかって、何とか首だけをベンの方へと向けた瞬間、
シュンッ
とフォークが飛んできて壁に突き刺さり、私と赤髪さんは真っ青になって固まった。
問い…もとい、どこか脅すような言い方で現れたベンの手には少しだけ盛られたスパゲティの皿があった。
というより、いつの間に…。
「お頭、とりあえず茉都莉を離してやれ」
「すまんな」
とても楽しそうに笑いながら謝った赤髪さんを見て、ベンが溜め息をついたのを見て、心の中で少し同情した。
「ベン、フォークはどうすんだよ」
「予備があるからな」
「サラッと言うなよ!」
それから、次々と船に戻って来た他のクルーの人達に紹介され、船での宴が始まった。
…宴が始まって賑やかなのはいいものの、ずっと赤髪さんの隣に座ってお酒を飲むことになっているのが疑問。