第19章 とある街のbarで
数分後、それが、あの赤髪海賊団のベン・ベックマンだと気付き、お酒を飲みながら密かに焦る。
上陸したとはいえ、このbarを見つけるのは、容易ではない。
何故、という疑問が渦巻いて、一言もしゃべらないから、店内は静かなまま。
「…悪いな、冗談だ。」
おそらく、沈黙に堪えられなくなったベン・ベックマンが謝ってきて、更に焦ってしまった。
「あぁ…いえ。別に振られては。」
口から出てきたのは、素っ気ない返事。
今の私がシラフだったら、あのベン・ベックマンに、と真っ青になるだろう態度。
「…何故、泣いている」
…そうだ。この人も、海賊だ。
おじいさんを殺した、海賊と、同じ…。
気が付いたら、怒りと酔いに任せて、泣きながら、今日の事を喋っていた。
「…もう、分かったでしょ…っ!」