第19章 とある街のbarで
夕方、私の家にやってきた若い海兵さんが、
「犯人は無事捕まえました」
と言って、帰っていった。
おじいさんを殺したのは、海軍が捕らえ損ねたどこぞの海賊の生き残りだったらしい。
泣きながら、ふらふらと裏路地をさまよっていた。
そこへ、赤髪海賊団の上陸という情報。
最悪だ。海賊を嫌いになった日に。よりによって、こんな日に。
とりあえず、行き着けのbarに行く。
ここに住む、一部の人しか知らないbarは、寂れた裏路地にひっそりと佇んでいる。
今や、このbarに通うのは、私1人だろう。
一人きりで、泣きながらお酒を飲む。
余りお酒には強く無いけど、今日は一気に煽る。
店内には、私の泣き声だけが響く。
少し落ち着いた頃、今度は、ちびちびとお酒を飲む。
正直、まだおじいさんの死を信じたくない…
そうぼんやりと考えていた、その時。
「男にでも、振られたか」
急に、一人きりのばずの店内で、隣から声をかけられて、息をのむ。
警戒しつつ、隣を見れば、どこかで見たような姿。
お酒のせいでぼんやりとする思考。