第5章 強者どもと耳のあと
夜の夕飯の鍋をつつきながら、刀剣男士達の視線は1点に集中していた。
視線の先に薬研に世話をされている月海の姿があった。
頭には黒いネコ耳が生え、顔にぴょこんとヒゲがある。
両手は肉球付きのふわふわした手袋がハマっていて、背中から一本尻尾が見えている。
薬研「で?どれ食べたいんだ?」
月海「と、豆腐にゃ。…はぁ(泣)」
ニヤニヤ笑う薬研とは逆に半べその月海。
月海「恥ずかしさしかにゃい!!」
肉球手袋は、箸が持てないのだ。
その上何故か語尾に『にゃ』が付くものだからたまったものではない。
月海「何時まで、続くにゃ?解毒はないにゃか?!」
顔を真っ赤にし、涙目で訴える月海に鍋の具をよそった小鉢を渡しながら薬研はしれっと言った。
薬研「心配しなくても一晩経てば、元通りだって。ほらお腹空いてるだろ大将♪」
月海はため息をつきながら広間を見渡した。
雪合戦の事を知らなかった子達は、驚きながらこちらを見て話に花を咲かせている。
参加した子達は、月海と同様にまだ耳を生やしたままでいた。
ちょっとはしゃぎ過ぎたかな…。