第4章 耳、みみ、ミミ!
月海「え?それって…。」
戸惑う月海に薬研はひょいっと何かを取り出して見せた。
右手に握られたそれは、真っ黒の玉だった。
月海「うわぁー、聞きたくない!けど聞くしかないよねぇ…それは?」
薬研「これは大将専用の薬を仕込んだ雪玉。他のは耳だけだけどこれは違う。」
嫌な予感しかしない…。
薬研「雪玉に当たると失格だろ?そうやって騒ぎを起こしつつおじゃま虫は退場してもらって、悠々とこの雪玉を大将に当てるって寸法だ。」
怪しい笑いを浮かべる薬研は更に言葉を続ける。
薬研「これに当たると耳と尻尾とヒゲと猫の手袋靴下が現れるんだ♪」
月海「はいぃ?」
何言ってるのこの人?要するに猫のコスプレさせる雪玉じゃないか!
呆然とする月海。
薬研「因みに、こっちは兎版で個人の趣味でどっちも黒だ!あはは。」
楽しそうに笑う薬研に脱力感が押し寄せる。
光忠「き、危険な代物だねー。」
小狐丸「いや、全くだ。」
後ろで2人がうんうんうなづくのが聞こえた。
いやいやいや、危険か?と月海は心の中でツッコミを入れた。
薬研「って訳で大将。ここからはもっと本気でいくからな。」
そう言うと、薬研は雪壁に引っ込んだ。