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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第17章 記憶と私達


「ルル。」
10年ぶりに聞いた母の声。
なのに、記憶が飛んでいるせいで、まだ数日ぶりに会った気がする。
「お母様…。」
絞り出した声は、それが精一杯だった。
あの日から、母の存在は恐怖と混沌に満ちている。
「契約を、破棄なさったのですね?」
「ああ。残った彼女の記憶と、俺のあの日の記憶をどうした?」
ルリアはクロロたちに背を向けたまま、ゆっくりと話し始めた。
「あの日、会場に居た者全員分の記憶は、わたくしが管理しております。
カヅキの名誉の為に。
ルルの存在が、公になったのもあれが初めて。
つまり、ルルは未だにこの屋敷の者しか知らないのです。
そして契約後、存在を抹消。」
「酷い親だな。」
「酷い?一般的に見たらそうかもしれませんわ。
わたくしが唯一彼女にしてあげたことは、人形として、何事にも興味を示さないようにしたこと。
でも、絵とクロロ様、貴方は計算外でしたわ。」
「何が人形だ。彼女にはきちんと人権があるだろう。」
「契約中だったら、ありましたわ。
好きなことだけをして、狭い鳥籠で永遠に幸せに暮らす。
素敵な権利だと思いませんこと?」
「俺がそれを奪ったと。」
「そうです。あのまま貴方に会わなければ、ルルは人間として、死ねたのです。」
クロロはルリアの背に殺気をキッと向けた。
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