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アネモネの花を…

第2章 ものがたりのはじまりは。


“もうLINEや連絡をいっさいしないでください。あなたといるのは重すぎてきついです。これが最後の連絡になります。さようなら。”


新年そうそう、付き合っていた人からもらった衝撃的なLINEに私、大月栞はかなり落ち込んだ。

正直、何がいけなかったのか、何が重かったのかすら検討もつかない。

「ねぇ、どうして?何かした?」

実家の一人部屋で呟いたその一言はなぜかとっても大きな声に聞こえた。


LINEもブロックされ、電話番号も変えられて、もはや連絡を取る手段すらゼロになってしまった。


私の初めてを全部奪って行った、その男を私は忘れられるの?

大好きだった。ありのままの大月栞をみてくれた人だったから。


「俺が、栞の一番のファンになるよ。」

あんなに優しくしてくれたのに。あの言葉にどれだけ支えられてきたか、一人真っ暗の闇のなか涙を流した。








「はぁ~、高崎さーん、つらいよ~泣けるよ~」

「そんな男、忘れて次行こ!次!!」


マネージャーの高崎さんが運転している車の後部座席で、ちょうど一週間前くらい前の出来事である失恋話を私は口にしていた。


「だってさ、超好きだったの!運命だと思ったんだよ!なのに何なの?あぁぁぁー、私のどこが重いんだっつーの!」

「んー?体重~?」

「は?」

「うそうそ、嘘だって。もぉ~しおりんそんなに怒らないでよね!まぁ、マネージャーとしはさ、大切なうちのタレントに近寄るへんな虫が居なくなってくれて一安心だよ。しおりんには、これから女優として売れてもらわなきゃなんだからさ。そんで、俺を養って~」


「絶対養わないからね。そうだよね。ちゃんと仕事は切り替えるからさ。絶対大物になって、見返すんだからぁぁぁあ!」


「葵くんを~??」

「名前を出すなー!」


そう。何を隠そう、私は今売りだし中の新人女優。
年は24歳。17歳から21歳までモデルをしてたんだけど、一年間のブランクをへて、女優に転身した。

モデルの頃は、沢山ちやほやされてて、表紙も飾って、調子にのってたっけ。

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