第5章 望んだ先は
ニャァーニャァー!
「……んー?らむぅー……………あれぇ?栞?」
ラムの鳴き声に起こされて、ふと隣をみると、昨日抱きしめて眠ったはずの彼女の姿がない。
俺はベッドから、抜け出してキッチンの方に向かった
「……ん?あぁ、まこくんおはよう……」
「おはよ。……何?朝ごはんつくってるの?」
彼女はキッチンでテキパキと料理をしていた。
「……うん………ごめんね…キッチン勝手に使っちゃった……許可もらった方がいいかなって思ったけど……良く眠ってたから」
「………いや、めちゃくちゃ嬉しい‼……できるまで隣で煙草吸ってていい?」
「……うん!」
俺は彼女から少し離れた場所にたち、煙草に火をつけ、彼女の姿を盗み見た
ーまこ、煙草吸いすぎ!あっ!また強い煙草にしたの?ー
ー別に、俺の勝手じゃん?ー
ー……ストレス溜まるもんね。お仕事で……でも、心配になる………まこくんの煙草吸ってる姿好きだから………小言言ってあれだけど……だから、あのね、ー
ーわかった!三ミリに戻すよ!……栞が子供産みずらくなるのやだし。ー
ーえ!?……それって…ー
ーさーて、コーヒーでもつーくろ!ー
思いだす。彼女との幸せな日々が。
昨日、俺の事を世界で一番思ってくれていた、あの日の彼女に会った。
もし本当に彼女の言う、後悔を全て消してしまったら、どうなる?
彼女は必要な事だって言っていた。
でも、あんな顔はさせなくない。
守りたい。護ってあげたい。
「……できた!……まこくん、運ぶの手伝って!……食べよ」
「うまそ!……うん。わかった」
この笑顔をずっとみていたい。
でも、過去に来てわかった事がある。
あのときの俺はめちゃくちゃガキだったから、あまのじゃくだったから、思ってもない事をたくさん言って。
でも、いつも、いつしか彼女はそのあまのじゃくも受け入れてくれて……。
はじめはあんな笑顔じゃなかった。今の彼女が良くするとても可愛いくて、元気がもらえる笑顔だった。
でも、あの日の彼女は、安心する笑顔にかわってた。
もう二度と彼女は傷つけない。
そう決めたから。
だけど、
全ての後悔は消さないよ。
君との未来が戻った時は、あの笑顔の君になってたいんだろ?なぁ…………栞