• テキストサイズ

進撃の巨人 リヴァイ落ち予定

第5章 近づく心



リヴァイがハンジに言い訳をしたのは、当たり前だ。
変に勘ぐられても、面倒になることは目に見えていた。

……面倒、か。

アイリーンは自分で“面倒”という言葉を用いていながら、その言葉に酷く落ち込んだ。

何故落ち込んでいるのか、ハッキリと答えは見えない。
いや、見えているけれど見えないようにしているのかもしれない。
こんな事、思ってはいけないと心に言い聞かせているのだと思う。


「やはり却下だ。考え直せ。あと風呂に入れ。」

「厳しいなぁ。わかった、考え直すよ。あとお風呂はまた今度ね。」

「ならせめて掃除をしろ。」

「僕には崇高なる使命がある! そう、実験・研究・開発! 掃除をする暇は」
「黙れクソ眼鏡」


今も尚話し続ける二人。
仲が良さそうな二人に、アイリーンはそっとため息を溢した。

いいなぁ。私もいつか、リヴァイさんとあんな風に軽口を叩ける間柄になれるのだろうか。

なんて思うのも、おこがましいのかもしれないけれど。
仲の良さそうな二人に、アイリーンはちょっぴり嫉妬していた。


「あ、アイリーン! リヴァイに渡す物があるって言ってたでしょ? 今渡しちゃえば?」


リヴァイとの話を終えたのか、ハンジはアイリーンに向かってニコリと笑顔を向けた。
そういえば、渡そうと思って荷物を取ってきたんだった。
渡す前に、リヴァイと……、となってしまったのですっかり忘れていた。


アイリーンは急いでソファから立ち上がると、机に置いていた小さな箱を手に取る。
気に入ってくれるといいな。
箱を見つめて微笑むと、リヴァイへと近より、その小さな箱を差し出した。


「これ、この間の事件のお礼です。よかったら召し上がって下さい。」


差し出された小さな箱に、リヴァイは不思議そうな顔をしながらも受け取った。
よかった。受け取ってもらえた。

それだけで嬉しくなり、アイリーンはホッと胸を撫で下ろした。


「……すまないな、頂こう。」

「紅茶のお供になれば良いんですけど……。」


照れたようなアイリーンの顔に、リヴァイはほんの少しだけ表情を緩める。
受け取った箱を手に持ち、リヴァイは再度二、三ハンジと言葉を交わすと、部屋を後にした。


/ 79ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp