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進撃の巨人 リヴァイ落ち予定

第5章 近づく心



「あの、リヴァイさん……っ」


アイリーンの手を引っ張ると、ソファに座るリヴァイの胸元に軽く飛び込んでくる。
寄りかかる様な格好になり、アイリーンは完全に固まってしまった。

その口からは小さく、あの。その。とだけ聞こえてくる。
頭から湯気でも見えそうな程、顔は赤い。


「お前はこういう経験、無かったな。」


動かないアイリーンの顎を掴むと、そのまま上に持ち上げリヴァイと強制的に視線を合わせる。

合わさった視線の先のアイリーンは、今にも泣きそうな程、瞳を濡らしていた。
上気した頬に、濡れた瞳。
小さく開いた唇からは、 あの。と小さな声が聞こえる。

アイリーンに意地悪をしたくてしているのに、リヴァイの方が今度は意地悪されている気になる。
自分で仕掛けておきながら、なんの罰ゲームだろうかと心で悪態をついた。


「あの、リヴァイさん……、私、その、どうすれば……」

「……前みたいに口を閉じてろ。」


俺は、何をする気なのか。
もうリヴァイ自身も分からなくなってきていた。
それでも、リヴァイの身体は迷い無くアイリーンに近付く。

ああ、これはやばい。
このままでは、引き返せない所へと立ち入ってしまう。
止めなければ。

リヴァイが、すまなかったと、前と同じように謝ろうと口を開いたときだった。


「完成する! これは良い感じに完成する! 巨人を捕まえられる!」


研究室の奥から、ハンジのデカイ声が響いてきた。
その声に、二人の身体はピクリと反応して、動きが止まる。


「きたよ! これは凄い! あはは! 完成してしまう!!」

「……阿呆が煩いな。」

「は、はい……」


二人は近づいていた距離を、ゆっくりと離す。
少しだけ寒いなと感じたのは、勘違いではないだろう。

まだ奥から聞こえてくるハンジの笑い声。
その声に、リヴァイは内心感謝していた。
あのままで行けば、きっと俺は……。

握っていたアイリーンの手を離し、リヴァイはアイリーンの頭をポンっと軽く叩く。

そして一言、「すまなかったな。」と告げた。

リヴァイによって頭が動いた為か、堪えていたからかは分からないが
リヴァイの言葉に、アイリーンの瞳に溜まっていた涙が一筋頬に流れた。

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