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大切【NARUTO】

第34章 デートをしよう





腕をふるって作った料理を机に並べ、サスケを呼ぶ。

我ながら美味しく出来た夕食だ。
きっと、先のサスケの言葉で気分も舞い上がったからだと思う。

暗い気持ちで作れば不味くなるし、楽しい気持ちで作れば美味しくなる。

料理ってそういうものだと思う。
気持ちは、一種のスパイス見たいなものだから。


「…美味いな。」


『ふふっ、そっか!嬉しい!』


笑顔で言うと、サスケも同じように笑顔で返してくれる。

少し早めの夕食だけど、いつものように2人で笑いながら、たわいもない話をして。

それが楽しくて楽しくて仕方がない。

当たり前がどれだけ幸せで、どれだけ喜ばしい事なのか。

けれど、これだけ楽しくても、最近サスケの焦りを感じていた。
それは何に向けてか、どうして焦っているのか、今の私には分からない。


「……明日、連れて行きたいところがある。」


突然のサスケの言葉に首を傾げる。
楽しいところに連れて行ってくれる訳ではなさそうで、私は思わず聞き返した。


『連れて行きたいところ?』


「リクが、まだ行ったことのない場所だ。」


『里の中の?』


「ああ、そうだ。」


そうだと答えたサスケの声は、やはり焦りと不安と疑問と…沢山のマイナスな想いが篭ってる気がした。


(サスケ、一体何を隠してるの…?)


それに、この里でまだ行っていない所なんてあっただろうか?


『…そっか!でも、私は団子屋さんも行きたいなー!』


「俺は甘いものはダメだって知ってるだろ。」


『まーまー!久しくみたらし団子食べてないし!付いてきてほしいの!お願い!』


「…ったく、仕方ねぇな。」


『ふふっ!ありがと!』


…逃げた。
私は今、逃げた。

話をそらしたくて、別の話を持ち出した。

ちゃんとサスケと向き合わなければならなかった事、分かっているのに。

サスケの焦りが、なんだか怖くて。
少しだけ嫌な予感がしたのだ。

だから得意の笑顔で、不安を隠したのだ。



そんな私を見て微笑んだサスケも、何かを隠している。

こんなに互いの心に壁を感じるのは初めてだ。





互いになんでも知ってるように見えて、奥の奥まで、私たちは分かり合えていない。





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