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大切【NARUTO】

第34章 デートをしよう





俺は明日、リクをあの場所へ連れて行こうと思う。

ずっと里で生活してきたけれど、たった一箇所だけ連れて行ったことがない場所。

廃れていて、今はもう誰も近づかない、あの場所だ。


『…そっか!でも、私は団子屋さんも行きたいなー!』


「俺は甘いものはダメだって知ってるだろ。」


『まーまー!久しくみたらし団子食べてないし!付いてきてほしいの!お願い!』


「ったく、仕方ねぇな。」


『ふふっ!ありがと!』


リクの笑顔の中に違和感を感じながらも、俺は微笑んだ。

そのリクの笑顔は、俺が嫌いな笑顔。
他の誰にも分からないほんの少しの変化だって、俺にはわかるんだ。

それと同じように、きっとリクだって俺の変化に気づいているのだろう。

でも互いに言い出せないのは、まだ互いの心に壁があるという印なのだろうか。

俺が…また疑い始めだからだろうか。




…互いになんでも知ってるように見えて、奥の奥まで、俺たちは分かり合えていない。




『でもさ!そんな場所あるなんて知らなかったなぁ。』


「まあ、俺もあまり行かないからな。」


『そうかぁ。どんな場所なんだろう。』


リクはそう言いながら、食べ終わった後の皿を片付ける。

そんな彼女の後ろ姿を見ながら、俺は気づかれないように小さく息を吐いた。


あの場所に行くのは、俺は嫌いだ。

リクが来てからは、行かないようにしていたけれど、もしかすれば、あの場所へ行けば…。


やはり木の葉崩しが終わった時、リクの歌声を聞いてから、俺は変だと思う。

それはただ単にリクが好きっていうだけじゃない。
もう何も失いたくないという恐怖からでもある。

そして、ずっと疑うことをやめていた事が蘇ったのだ。



やはり彼女は、記憶をなくしたソラではないのだろうかと。



波の国での白いあざ、死の森での歌や、木の葉崩しの日の歌声を聞いた時。
それぞれ不思議な事にセイレーンの名が浮かんだ。



…それは小さな賭けだ。

違うならそれでいい。
ただ、確かめたい。

あの場所へいけば、ソラならきっと何かを思い出すだろう。




うちはの集落に行けば、ソラならきっと…。




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