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大切【NARUTO】

第34章 デートをしよう





『……可愛いなって。ふふっ。』


サスケが私の部屋を出て行く姿を見送りながらも、ずっと私は笑っていた。

にやけが止まらない。
あのサスケの辞書に、可愛いなんて言葉があったなんて。

嬉しい。
たった一言でこんなにも。

先程までの悲しいという気持ちは一転、浮かれた気分に浸る。
自分でも認識できるほど、私は単純だ。


『今日はサスケの好きなものにしてやるかっ!』


私はまた、枕に顔を埋める。

けどその表情は、先ほどとは違う。
暗い悲しい顔じゃなく、明るい笑顔。

恋をすると、自分が嫌になるのは本当。
嫌な事ばかりな事も本当。

けど、嬉しい事も少しはある。
彼の一言一言が嬉しくて堪らない。

恋って、変なの。

ジタバタと足を上下させた後、ベッドから飛び降りる。
そして少し早いけど、夕飯の準備を始めた。







扉を閉じた後、俺はその前に座り込む。

「…チィ。」

全く俺らしくない。
なんだ、さっきの態度とセリフは。

恥ずかしさを隠すようにもう一度頭をガシガシと掻き、大きなため息をついた。

それにしても、あんなに綺麗に笑うなんて想像してなかった。
あんなにも嬉しそうに笑うなんて想像してなかった。

さっきのリクの笑顔がまた思い浮かび、ブンブンと頭を振った。

木の葉崩しの日、外を眺めながら歌うリクの姿を見てから、俺は変だと思う。

前以上にリクを離したくないと、前以上にリクを守りたいと思うようになった。

それはただ単にリクが好きっていうだけじゃない。
もう何も失いたくないという恐怖からでもある。

それは我愛羅との戦いで強く思った事だ。
大切な仲間を、ナルトとサクラを目の前で失うことが嫌だった。
それは勿論、リクにも言える事で。

けれど、呪印に蝕まれ、俺が倒れている隙にナルトは…。

リクが、ハルさん達のように、歌の力を有しているかは分からない。

けれど、リクのあの日の歌声で、彼女への感情が大きくなった事、そしてナルトの成長から来る焦りの感情が煽られた事は事実だった。




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