第1章 モコモコうさぎ
「ま、待ってきなこ…!」
「みゅー♪」
あれ、きなこってこんなに足早かったっけ…?
なかなか追いつけないまま、気が付けば見知らぬ公園まで来てしまっていた。
「こんな公園、あったんだ…」
緑が多くて中央には噴水がある。雰囲気のある素敵な公園…。
駄目、今は急いできなこを探さなきゃ…!
視線を戻すと、きなこの姿は見えなくなってしまっていた。
「きなこー?」
どうしよう…早く見つけないと…!
「きなこー!お家帰ろうよー!」
公園に入り、きなこを見失ってしまった私が辺りをウロウロしている時。
「えっ…?」
突然月明かりが眩く光ると共に視界が歪む。
「何…!?」
思わず腰が抜けてしまい、その場にへたれ込む。だが。突然その地面に大きな穴が現れた。
え、どうして…!?
「誰かっ…!」
落ちる…!
私は力が抜けたまま、穴に落ちていく。
どうしよう、私…死んじゃうの…?
「嫌…だ、れか…」
冷静さを失った私は意識までも手放した。
彼女の姿が消えた公園には先程と変わらない風景が広がっているだけで、大きな穴など何も無かった。
「…みゅう?」
私が次に目を覚ましたのは数時間後の事になる。