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i7 in Wonder land

第5章 動き出す黒い影


おどけた様に肩をすくめると私の方へと歩み寄る大和さん。
やっぱり、猫みたい…。

「まーたアリスは俺を猫って思ってる…」
「えっ」

また、心を読まれた…?

「何言ってんのおっさん。チェシャ猫のくせに」
「だからそれは職業柄[猫]って付いてるだけで、おにーさんは猫じゃないんだって」
「は?猫じゃん」
「猫ですね」

三月さんの言葉に壮五さんも賛同する。
そのやり取りが可笑しくて。

「ふ、ふふっ…」
「…うん、笑ってる方がいいな」

ふと、三月さんが言う。

「そうですね、笑顔が似合います」
「そ、そんな…」

壮五さんまで…。
なんだか恥ずかしくなってしまう。

「さて、和んだ所で…本題に入りますか」

大和さんが深刻そうに表情を変える。
その瞬間、ピリッとした空気になり張り詰めた緊張感が襲う。

「その首飾りは[アリス]が必ず身に付けると言われている守り石が付いたもの。[この世界]に着いた時にでも付けられたんだろ。…ついでに、あの様子だと覚醒時に発動されるみたいだけど」

つらつらと説明する大和さん。
とりあえず、私が持ってても大丈夫そう。

「なるほど…」
「だが問題はそこじゃない」
「わかっています。黒の国が本格的に動き始めたんですよね」

黒の国が動きはじめた。
そのワードに思わず身を固くする。
さっき起きた出来事がフラッシュバックする。



急に閉ざされる視界。
開けた視界には剣を持つ壮五さん。
壮五さんの腕の中から見えた、銃を構える楽さん。



「大丈夫か?」

三月さんが顔を覗く。
慌てて思考回路を現実に戻す。

「すみません…大丈夫です」

いけない、今はちゃんと話を聞かなきゃ…。
三月さんが作ってくれたココアを飲み、自分を落ち着かせる。
あぁ…やっぱり美味しい。

「黒の国もアリスの存在に気付いたのは知ってた。にしても、こうも早く動きを見せるとはな…」

大和さんが話を再開する。

「アリスが来てまだ半日だ。何か危機迫ってる感じなのか…」
「そうですね…僕もそう思います」
「また争う事になるのか?」

大和さんと壮五さんの話に三月さんも加勢する。

「いや、まだわからない。向こうが何をしたいのかが分かれば話は別だが…」
「まだ様子見ですね…」

とりあえず大変な事になったみたい…。
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