第4章 アリスの役目
「お前さんは外の世界から来た存在、つまり[アリス]。そして、自覚は無いみたいだけど言い伝えの中心人物」
「言い伝え…?」
そういえば、環さん達も言っていた[お月様]がそうなのかな…。
「そう、その[お月様]のやつ」
「っ!?」
「人の心読み過ぎですよ、ヤマトさん」
「ん?なんならソウも読んでやろっか?どれどれ…」
じぃっと壮五さんを見つめる大和さん。
「や、止めて下さい…」
「お。まじか」
「追い出しますよ?」
スラリと剣を抜く壮五さん。
え、今何処から剣が!?
「それは勘弁…アリスも怖がってるって」
「貴方が止めれば済む話です」
おぉ怖…と肩を竦め、話を続けてくれる。
「今のソウみたいに、俺達はみーんな武器を使えるんだ」
「武器…」
「そ。みんなそれぞれ駒なり何なり持ってて、それを具現化っていうの?そんな感じで武器に形を変えたりして戦うんだよ」
じゃあ、壮五さんは今それで武器を出したのかな…?
チラリと壮五さんの手元を見る。すると突然現れた剣が消えていて、その手元には馬を型どった白いナイトの駒がひとつ。
「怖がらせてしまってごめんね…僕のはこの白のナイトなんだ」
すごい、本当に魔法みたい…。
「んで、一部の武器使いが1番になろうともがき戦争が起こって国が割れた。それがこの平和を願う[虹の国]と頂点を目指し続ける[黒の国]が出来た。まぁ、どっちにも属さない2人もいるんだけど」
「その2人がお告げ…言い伝えを聞いたんだ」
大和さんの説明に壮五さんが付け加える。
「そーそー。で、その言い伝えに[アリス]が関係してる」
「[フルムーンの日。アリスは革命を起こす。]…これがその言い伝えだよ」
フルムーン…だから環さんは[お月様]って言ってたんだ。でも。
「私、そんな革命を起こすだなんて…」
「大丈夫だって、まだ覚醒してないだけ」
か、覚醒?
何のことか分からず、思わず首を傾げる。
「必要な時にだけ、その力が解放されるらしい…。それが言い伝えで[覚醒]って言われているんだ」
なるほど、わかりやすい解説。
でもあまりにも非現実的な話に、どこかふわふわとしたイメージになってしまう。
「ま、その時になれば分かるさ。…今はとりあえずここを出た方がいい」
その瞬間、目の前が暗転した。