第1章 出会いはいつだって突然に
「ここ、座ってもいい?どこも空いてなくて」
そう言って入ってきたのは少女。
ああ、どうぞ、彼女を招き入れる。
私と向かい合うように座った。
胸の下あたりまで伸びる赤毛、きらめく緑の瞳にには長い睫毛。可愛らしい子だ、と思った。
「ありがとう」
『ううん、コンパートメントを一人で独占できないし』
「ふふ、優しいのね。…リリー・エバンズよ。よろしくね」
腕を伸ばす彼女。
『私はニナ・クロムウェル。リリー、よろしく」
私も腕を伸ばし、握手する。
「へー、クロムウェル。聞いたことあるよ…服の会社だよね?」
『うん、マグル向けの服を売ってるとこ』
「マグル向け?ニナはマグルなの?」
『あー…まあ、一応は純血。リリーは?』
「マグルよ。まさか自分が魔法を使えるだなんて、教えてもらうまで知らなかったわ」
『教えてもらった…?誰に?』
「幼馴染みに。もうすぐ来ると思うんだけどな…」
そう言ったのとほぼ同時。コンパートメントの扉が再び開いた。