Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第10章 俺達のスペアキー
「よっ、お疲れ」
「えっ、なんで…?」
パワーウィンドウが開き、夜にも関わらず濃い色のサングラスをかけた潤が、俺に向かって右手を上げた。
もう慣れたことだけど、やっぱキザな奴だ。
「お前さ、遅くなるなら連絡しろよな? 心配すんだろ?」
「あ、ごめん…」
西畑の慌てっぷりに、つい連絡することすら忘れてた。
「随分と待った…よね?」
「かなり、な?」
「マジでごめん…。怒って…る?」
連絡もなしに待ちぼうけ食らわされたんだ、怒らないわけないよな…
「怒ってるよ? でも…」
俯いてしまった俺の首に潤の長い手が伸びて、めいっぱい引き寄せられたかと思うと、目の前の顔がニヤリと笑って、
「和が無事なら、それでいいんだけどな?」
俺達の唇が重なった。
「ちょ、ちょっと、ここ会社の前…!」
人にでも見られたら…
「くくく、別に構わないんじゃないか? だってお前カミングアウトしてるし」
「そ、それは…そうだけど…」
でもやっぱ人に見られたらさ、恥ずかしいじゃんか…
「ま、いいや…。とりあえず乗れよ。俺、腹減った」
「うん」
そう言えば俺も腹減ったな、なんて助手席に乗り込みながら思う。
「ラーメンでも食って帰るか…」
「うん、賛成」
「よし、飛び切り美味いラーメン食うぞ!」
「おー!」
って、俺達幾つになってもガキのまんまだな(笑)