第4章 彼の嫉妬は雪をも溶かす。
「…服っ、濡れちゃうよ…!大輝…?」
「んな事はどうでもいんだよ!!」
シャワーのコックを捻りお互い服のままお湯を浴びる。
のニットのワンピースは水分を吸ってその重さを増していた。
「んっ…!大輝…っ」
首筋に噛み付くようにして青峰は唇を寄せる。
「知らねー匂い…させてんじゃねぇよ…!!」
普段コロンなど何も付けないから香る男物のコロン。
無縁な筈の煙草の匂い。
先程の介抱の時の移り香だろうか。
それとも、違う場面で?
「くっそ、が…!」
自分はあの場に居られない。
年下だから、未成年だから、高校生だから。
だから、遠くへ行かないで欲しいのに。
彼女はどんどん女らしくなって、綺麗になって。
焦りばかりが先に立ってしまう。
「大輝……?んんっ…!」
悲しげな顔が見えた気がした。
私がそうさせてしまってるんだろうか。
彼を、悲しませているのだろうか。
そんな顔を見られまいと青峰は強引にの唇を奪う。
「っは………」
「んん…ぅっ」
は青峰の首に手を回して自ら舌を絡め出す。
「私は…何処にも行かないよ」
「……」
「大輝しか、見てないもん…」
濡れた服も気にせず、は青峰の胸に抱き着いた。
不安にならないで、大丈夫だよ、の気持ちを込めて。
「大輝より魅力的な人なんて、いないよ」
そう言ってはニッコリと笑った。
「………」
背中に腕を回して青峰はを抱き締めた。
押さえ付けていた時とは違い、とても優しいハグ。
落ち着きを取り戻した青峰の背中をはゆっくりと撫でた後、シャワーを止めた。