第4章 彼の嫉妬は雪をも溶かす。
「……ふざけんなよ、」
「大、輝……痛い…」
「お前は…俺のモンだろーが!!」
両手を頭の上で纏められ、力任せに押さえ付けられる。
ギリリと骨が軋みそうな程の圧力。
それは、彼の怒りに比例している。
青峰の彼女であるは彼よりも二つ年上の二十歳の大学生だった。
二十歳を越えた大人の世界には年の瀬のイベントとして欠かせない忘年会がある。
それは、彼女の大学でも同じ事。
そしてお酒を覚えたばかりの彼女はたった一杯のカクテルに見事に呑まれてしまい、無防備な姿を晒してしまった。
事もあろうに青峰の前で、青峰以外の男に。
「俺が行かなきゃどうなってた…?言ってみろよ」
「大輝……手、痛い…」
「他の野郎に触らせてんじゃねェよ…!」
が心配だった青峰は忘年会をしている居酒屋の前まで彼女を迎えに行った。
時刻は23時を回っていたが、青峰の背の高さと体つき、そして何より堂々とした立ち振舞いが『居酒屋の前にいる高校生』らしさを感じさせず、周囲の誰も青峰を気に留めてはいなかった。
「大丈夫ー?ちゃん、二次会行けんのー?」
「何なら俺ん家行くってんでもいーけど?(笑)」
「んん…や、私は……」
青峰が待ち構えていた所に支えられる形で店を出て来た。
下心見え見えな男達に腕や肩を触られている。
その姿を見ただけで青峰は頭に血が上りそうだった。
「…俺が、連れて帰るんで」
ギリギリの所で冷静を保ちそう口にした。
これで絡まれたりしたら、自分を抑えられなくなりそうだった。
「…あ?何だよおま…っ!?ひ…っ!」
「だ、いき……?」
「ちゃんの知り合い?!あ…な、なら後はお願いしまーす!!」
静かな声とは裏腹に鋭い目線で睨み付ける青峰に完全に怖じ気づいた男達は、青峰にを押し付けるとそそくさとその場を立ち去った。
「だいき…どして……?」
「どうして、じゃねぇだろ…!!」
手を引かれるままに辿り着いた自分のアパート。
青峰はのショルダーバッグから鍵を取り出してドアを開けた。
そして乱暴に靴を脱ぎ捨てそのままバスルームヘを連れていき、壁に押さえ付けられたのだった。