第8章 母校に向かう
「せっかくなので頂きましょう」
武田先生の言葉を合図に高校生達はワラワラとこちらへ集まる。
一人ずつ丁寧に「ありがとうございます」と頭を下げてボックスの中からアイスを取り出していった。
「俺、コレ大好きなんです‼」
ガリガリくんのソーダ味を持ちながら私を見る西谷くんに、
あぁ…らしいなぁ。
なんて思う。
可愛いなぁ。好きだなぁ。
なんて思う。
胸の奥がぎゅっと掴まれる。
「喜んでもらえてよかった」
たぶん、ちょっとぎこちなくなった笑顔で笑いかければ、
「コーチにお世話になったってなんかあったんっすか?」
と聞かれた。
ヤバい…本来の目的を忘れていた。
「あっ、うん。ちょっとごめんね」
そう言って、西谷くんから離れ烏養さんの側へ行く。