第8章 母校に向かう
「あの…昨日はお世話になりました」
深々と頭を下げた。
「やっぱり、アレは彼氏じゃないよな」
と私の顔を覗き込む。
「…そう、ですね…」
顔を上げれば目が合う。
強面の顔が一層凄みを増しているように感じる。
昨日、失礼な事をしてしまったんだろうか…?
記憶がない。どうしよう。
「あ、あの…」
恐々、話しかけると
「とりあえず説教だな」とデコピンをくらった。
ニカッと笑う烏養さんに、
ほっと胸を撫でおろす。
怒らせるような事はしていないらしい
…。
ジンジン響くおでこを擦りながら、
「あの…何かお礼できる事はないでしょうか?」
そう、問いかけると、「別にいいんだけどよ」なんて言いながら少し考えた烏養さんが「明日の午後、暇か?」と聞く。
私がコクンと頷けば、部員に向かって口を開いた。