第1章 プロローグ
「最後まで歌わせてくれてありがとう」
ララは最期にアレンに微笑み人形としての役目を果たした。
「俺はこのままほかの任務へ向かう。お前は教団に帰ってコムイにイノセンスを渡せ」
「わかりました……。神田……」
「あ……?」
「僕は例え偽善だと言われても……誰かを救える破壊者になりたい……」
「……勝手にしろ」
イノセンスを握りしめるアレンに背を向けて神田は次の任務へと向かって行った。
「ウォーカー殿……」
「はい、行きましょうか、トマさん」
その時だった。
動きを止めたはずのイノセンスが輝き熱を持ち始めた。
「これは……まさか……」
トマはその場で急いで本部へと連絡を取り始めた。
「コムイさん、先ほどマテールで回収したイノセンスが熱を持って光り始めたんですが……」
『それは本当かい!?』
「はい、まるで……どこかに行きたがっているかのように……」
『それはきっと近くにそのイノセンスの適合者がいるってことだよ。アレンくん、申し訳ないけどそのまま適合者を探しに行ってもらってもいいかな?』
「え?どうやって探すんですか?」
『イノセンスは適合者が近くにいればいるほど適合者を求め強く光り熱くなる。また、適合者がいる方へと導いてくれるはずだ。それをもとにアレンくんには適合者を探してほしい』
「わ、わかりました。引き続きこのまま適合者探しに向かいます」
『後で、他にもう一人エクソシストを送るから。マテールから少し東に行ったところに小さな街があったはずだ。そこで休養も兼ねて留まってもらってもいいかな?』
「わかりました、東ですね?」
『うん、じゃあ、今から向かえば明日のお昼頃には駅に着くと思うからそこで合流してくれ』
「了解です」