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ただの女、男二人【進撃の巨人】

第8章 夢



「寝てるのか?」

コツコツとベッドへ歩み寄り、リヴァイは小さく声をかける。
布団の中の塊が、のそりと動いた。


「リヴァイ…?」


「ああ。どうした?体調悪いのか?」


「うん…。ちょっと怠くて」


リヴァイはマッチを擦り、ランプに火を灯す。
ひっそりと光が灯ったその部屋の中で見るビアンカは、あまり血色のいい顔とは言えなかった。
ベッドの端に腰掛け、ビアンカの額に手を当ててみる。


「熱はなさそうだな。風邪か?」


「うん…、そうかも…」


ここ数日はいつも通りの仕事量でも酷く疲れてしまう。
一晩寝てもなんだかスッキリせず、日中もボンヤリしてしまうのだ。
簡単な計算間違いをしてしまったのも、優れない体調のせいだろう。

「食欲は?」

「あんまりない。明日は休みをもらったの。今日はこのまま寝るね」

「ああ…」

そう小さく返しただけで、リヴァイはまだビアンカの顔を眺めていた。
付き添わなくていいものかと思案しているのだろう。
リヴァイの考えるところがわかり、ビアンカは微かに笑う。


「大丈夫。風邪だったら移しちゃ悪いし、もう帰って?」


「………わかった。戸締まりだけはちゃんとしろよ」


「うん」


布団から起き上がり、リヴァイと共に部屋の扉へと向かう。
ドアノブに手を掛けたリヴァイは、それを開く直前。
思い出したように振り返り、骨張った指でビアンカの頬をなぞる。
物言わぬまま近づく、二つの唇。


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