• テキストサイズ

ただの女、男二人【進撃の巨人】

第1章 地下街の三人



ビアンカは太陽を知らない。


地下街は空のない、上の世界からは閉鎖された世界。
四六時中薄暗く、上界が晴天であれば、空代わりの天井の隙間から光が漏れる。
ただそれだけ。
太陽などと呼ぶには程遠い。

動物の死骸や、時には生死のわからない人間が微動だにせず土に伏せていることだってある。
悪臭が立ち込める不純な空気。
整備などされていない、瓦礫や生ゴミの散乱する往来。
人相の悪い男たちがたむろする路地裏には、その餌食になる泣き濡れた婦女。


そんな場所に生まれ、17年間生きてきた女が一人。


際立った才はない。
強くもなく、弱くもない。
容姿も十人並。
他より人情味あるわけでもなく、人の道に逸れるほど冷徹でもない。

そんなありふれた、ただの女。
それが、ビアンカという女。


/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp