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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第67章 【番外編】治してください


なんとか、とお返事をして、くすくすと笑いながら手際よく飲みやすく用意をしてくれる。
「本当に仲がよろしいんですから……」
「え?」
「ジェイド様、同じ風邪を召されてますわよね?
お二人とも、旅でもずっと一緒にいらしたと聞いて納得してしまいました。」
「え…!?ジェイドさんも、体調悪いのですか?」
「お聞きではなか……?あっ!」
メイド長さんはハッとして、
「今のは聞かなかったことにしてください…」
と珍しく、しおしおと出ていかれた。
聞いてしまったからには心配で仕方がない…。
私の看病をしながらご自分の体調を無視して、きっと今もお仕事をされているのかと思うと、なんだか泣きそうになった。
ベッドをこっそり出ようとしたが、熱による身体中の痛みで、そこは断念した。
お帰りになられたら看病を代わろう。
ゆっくりしてもらおう。
私はお薬をぐっと飲んで、横になって眠りについた。
「…に、にがひ……」


夜、いつもより少し遅めの時間に、静かに誰かが部屋に入る音がする。
「ふぅ」
と低いため息が聞こえて、きゅんと胸が引き締まる。
「お、おかえりなさい……」
「ルルさん、起こしてしまってすみません。
ただいま…」
居間に行くと制服をハンガーにかけているジェイドさんがゆっくりと私に近づき、いつもみたいにぎゅっと抱き締めてくれる。
「…あ、やっぱり…熱い……」
「まだ熱があるのですか?すぐ横に…」
「違います…ジェイドさんが、です。」
「…!」
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