第63章 【番外編】変態の彼女4
数メートルの距離が惜しいほどこちらも眠気に襲われていたのはなんとなく覚えている。
何もしていないのは確かだ。
よし…。
と一人で納得していると、寒さに晒されて目覚めた彼女がこちらを見ていた。
抜けていないアルコールのせいか、とてもぼんやりしているようだ。
長いまつげが瞬きを数回繰り返すが、目はとろんと虚ろだ。
「ルル……おはよ……。」
「おはよう、ございます。」
手をきゅっと握られ、ごく自然にそれを頬に寄せられる。
あまりの可愛らしい仕草に思わず胸がきゅんとなる。
「どうしたんですか?
今朝はいつもみたいにして下さらないんですか?」
顔を赤らめながら上目使いに聞かれる。
「…な、何をだ…?」
「…っ、いじわる…」
照れたようにそう言うと、柔らかい唇が自分のそれを塞ぐ。
(あ、ああ、おはようのキスとかさせてるのか。
可愛い趣味があるな、アイツも…。)
と、のんきに構えていたが、小さな舌が侵入してきた時点で、一気にそれは焦りに変わる。
額に手を当て、やんわりとそれを否定した。
「ルル、悪い……。
お前の恋人は俺じゃ…」
「もう、良いのですか?」