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「ありがとう。」と「いかないで。」

第4章 夢主side


倒れ掛かってきた沖田さんの頭をポンと触る。

今の私の手には、頭痛を抑えるための力じゃなくて触った相手をしばらく眠らせる力が込められている。
その力が込められた手で”頭”を触るとその相手はすぐに眠りに落ちる。

私によりかかったまま眠りについた沖田さん。
口をぽかんと開けて唖然としているその場にいる一同。

そんな人たちを見て、私は口を開く。

「沖田さんが頭を抑えていたら私を呼んでください。不定期で起きる先ほどのような頭痛は人間の力では治せないし、耐えられる痛みでもない…。」

そう言うと黒髪の切れ長の男の人が訝し気に私を見て、口を開く。

「お前…天人だな。」

「この星ではそう言うんですね。」

沖田さんとしたような会話をする。

「人間の力じゃ治せないとか言って総悟に毒飲ませてんじゃねぇだろうな…?」

ドスの効いた低い声で私を脅すようにそう言ってくる男性。


”やはり人間を救うのは筋違いじゃないか…?”

ご先祖様の中にこう言った人がいた。
言ってしまったばかりに、処罰されてしまった………”私のおじぃちゃん。”

まだ幼かった私は、おじぃちゃんが処罰された意味を知らなかった。
時が経つにつれてだんだんと分かってくるその処罰の真相。


全ての真実を知った私は、強く人間を憎んだ。
だけど、それを逆に…私の命で”おじぃちゃん”を救えなかったなら”おじぃちゃん”を救う気で誰かひとりを”私の力”で助けたらいいんじゃないか。

その時の私は単純にそう思った。
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