第6章 過去
『お母さん。お父さんはいつ帰ってくるの?』
『あなたが大人になったらきっと会えるわ。』
『大人に……。分かった!私、頑張って大人になる!』
『これはあなたが持っていなさい。そのペンダントが光るとき、あなたの一番大切な人に自分の気持ちを伝えなさい。』
『お母さん…?嫌だ!”お母さんまで”私をおいていくの…?お母さん!!』
『このペンダントは人間を助ける力がある。その力で人を助けなさい。』
『人を助けるために生まれてきたことを忘れないで。』
『大切な人なんてできっこないよ…。』
『人を…ちゃんと助けてあげなさい。』
『おじぃちゃん…?どこ行くの…?』
『遠いところだよ。お前が大人になればまた会える。』
『ほんとに…会える…?』
『お前がいい子にしてたらな。』
『…咲華は…俺が治ったら消えるのかィ?』
『え…咲華…?透けて…っ!』
『あと1回…頭痛がきたら最後だよ。もう苦しまなくていい。』
『そんなの嫌だ!』
お母さん…分かったよ。私の大切な人…大事な人…守るべき人…助けなきゃいけない人。
おじぃちゃん…私頑張ったよ…。ちゃんと助けられるよ…。
もうすぐ…会えるね…待ってて…。
でも…沖田さんと離れたくないって気持ちが顔を出し始めてる…。
まだ…消えたくない…。
気持ち…ちゃんと伝えるんだ。
そしたらお母さんに会いに行っても怒られないよね…?
…今まで頭痛を消す力に混ぜて記憶を消す力も使ってきた。
これが最後…記憶と頭痛を完全に消す力を使う。
「お願い…お母さん…。力を貸して…。ちゃんと助けてみせるから…!」