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「ありがとう。」と「いかないで。」

第2章 今日の出来事


何となく整理ができた俺は、無意識のうちに彼女の名前を口に出していた。

咲華は頭上に?を浮かべ小首を傾げる。

ふと頭に浮かんだ疑問を目の前で首を傾げている咲華に投げかける。

「…咲華は…俺が治ったら消えるのかィ?」

「はい。沖田さんが治れば消えます。私たちは一人につき一人の人間しか救えないので。」


いらない者は存在する意味を持ちませんからね…。

そう言うとくしゃっと笑う咲華。
その表情に俺の心臓は嫌な音を立てた。


咲華がすぐに消えてしまう気がして……
俺な治れば消えてしまうのが怖くて…"俺のせい"で誰かが消えてしまうのが怖くて……

悲しみとか恐怖とか悔しさとか……そんな感情が俺の中で渦を巻く。


「大丈夫。どれだけ私に感情移入していても沖田さんが治ると同時に私のことは沖田さんの記憶から消えますから……。」

「記憶が…?」

彼女は頷くと優しく"だから大丈夫。"というように笑った。
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