第5章 沖田side
目が覚めると視界に映ったのは俺が最初に倒れて目が覚めた場所と同じ…。
頭痛は治まっていてなんとか起き上がれた。
「目…覚めたんだね。」
「咲華…?」
声がする方を向く。
でもそこにいたのは、俺が見たことのある咲華ではなかった。
何となく透けて見える咲華の体。
それと対照的に存在を訴えるかのように煌々と光を放つペンダント。
「なんで光ってんですかィ…?それ…」
何かの危機を警告しているように光り続けるそのペンダント。
その光を受けて、いっそう薄くなる咲華を見て嫌な汗が垂れる。
「…隠しててごめん。このペンダントは持ち主の”死”が近くなるとこうやって派手に光り始めるの…。」
「死…?」
持ち主の死…そのペンダントの持ち主は咲華……
「っ…!!」
咲華が…”死ぬ”…?
「でも安心して。私の死が近づいてるってことは、沖田さんの頭にきてる痛みがなくなるってことだから。」
痛みが”なくなる”ってことは咲華が”いなくなる”…?
悲しそうな咲華の笑顔にぎゅっと胸が締め付けられる。
それと同時に頭にくる痛み。
たぶん…今までで一番痛い。
これでもかというくらいに俺の頭を痛めつける。
最近、俺の頭痛を消すのに少し時間がかかっている。
俺の頭の痛みを消すのに今までよりたくさんの力を使うからか…
頭の痛みが消え、また視界に咲華を捉えたとき、そこには先ほどとは比べものにならないくらい透けて見える咲華。
「え…咲華…?透けて…っ!」
咲華を通して向こう側の景色が見える。
心配そうに咲華を見るコナ。
「あと…1回だよ。」
「え…?」
「あと1回…頭痛がきたら最後だよ。もう苦しまなくていい。」
そう言った咲華。
あまり頭がまわらない状態の今の俺でも十分分かる。
”あと1回頭痛がきて、咲華が力を使えば咲華は消える”。
「………の…………だ」
「ん…?」
「そんなの嫌だ!!」
「ちょ、沖田さん…!?」
気づくと俺は走っていた。
あてはなくどこか遠くを求めて。
とにかく遠くへ。”咲華が消えない”ために遠くへ。
ただただがむしゃらに走っていた。