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【テニスの王子様】千石清純【裏夢】R18

第3章 お好み焼き



「うう…食べすぎたかも」

「大丈夫?はい、ガムどーぞ」

「ありがと…」

楽しくて食べすぎちゃったかも。

ミントのガムを口へ放り込むと、少し気分が良くなった。

千石くんが私に歩調を合わせてくれる。ありがたい。

「今日はすっごく楽しかったなぁ〜」

「え?」

「あ、えっと、友達と寄り道とか、ちょっと憧れだったから」

へへへと笑うと千石くんが噴き出した。

「あははっ大袈裟だなぁ〜、でも、もう中学も最後の一年なんだから、あんまり悔いを残さないように過ごさないとね」

「あは、そうだね、もっとクラスに馴染みたいな」

「もっと、俺と一緒にいれば良いじゃん」

「え?」

「ほら、俺こんなだから、みんな警戒してこないし、ちゃんも紛れて馴染めるかもよ?」

「うん、努力するよ」

「っていうか、付き合わない?俺、ちゃんのこと、好き…みたい」

好きの言葉の後に、千石くんの顔がみるみる赤く染まって行った。

「…ええ!?」

赤くなる千石くんを見ていたので、ワンテンポ遅れて驚いてしまった。

真っ赤に染まる夕焼けが空き地に差し込んで、辺りも赤く染めていく。

「あ、いや、なんかごめん、急に…」

誤魔化すように笑うけど、千石くんの顔はまだ赤くて。

「えっと、私、ええと…」

ええと、どうしよう、そんなの、あり?ていうか、好きみたいって、みたいって、どういうこと?

雰囲気で言っちゃった的な?

「あー!もう!ごめん、やり直させて!俺、君のこと好きだ。付き合ってほしい」

赤い顔のまま千石くんが真面目な顔になる。

「………私で、良ければ」

なんとか言うと、手を握られた。

「わっ」

「本当!?本当に!?俺で良いの!?」

「うん、千石くんこそ、なんで私…?」

だって、教室でも、女の子はみーんなタイプ、なんて言ってたのに。

「なんか、気になってたんだよね、ずっと」

手を握られたまま、千石くんを先頭に歩き出す。

耳まで赤いから後ろからも顔が赤いのが解る。

「ずっと?」

「うん、前に大会で同じ会場だったことがあるんだけど、その時に試合してるとこ見て、かっこ良くてさ」

「かっこいい…」

かっこいいところを見て、気になった、と。

なんとなく複雑な気持ち。

私が繰り返したから気にしたのか千石くんが勢い良く振り返った。
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