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太陽に焦がれて

第2章 兄貴、信じてたのに


「喋ったね・・・?」
「あん?」
私がそれ以上何も言わないので、顎に手を当てて考え始めたようだ。真剣に。
腹立たしいことにとてもスタイリッシュだ。
 
「あー、俺の膝の上でカ-カ-寝てたアレか?」
「違うッ!」
またそれか、正直それはさほど恥ずかしくないぞ!第1あの時は寒い所へ任務に赴いて、焚き火だけではどうにも寒さに耐えられない私を兄貴が控えめに抱きかかえてくれていたというハートウォーミングな話であって。

「直前に言ったよね・・・お酒飲んでペラペラひとに喋ったりしないでーって私お願いしたよね!」
ここで見る見る顔まで真っ青になる兄貴のお腹へポコッと弱っちい拳を入れる。
「兄貴のバカーーー!!偶々メンツがやばい人達じゃなかったから良かったけど!」
「わ、悪ぃ・・・悪かったよ・・・」
令呪で晩酌を禁止してやろうかとも思ったが、貴重なものをそんなことに使うわけには行かない。それに私達のために惜しみなく力を貸してくれている英霊にそんな事をするのは気が引けた。
「もう・・・!ねえ、手伝って。兄貴はディルムッドに絶対誰にも話しちゃダメって私が言ってたって、私が言ってたってちゃんと話してきて報告して!多分中庭で鍛錬してるから!」
「わーった、わかったから、それそんなでかい声で言わない方が・・・」

情けない前傾姿勢でディルムッドの元へ向かった後ろ姿を見送りながら、盛大に溜息をついた。
 
他人に話した私が悪かったのだ、それ以上のなにものでもないと言われてしまえばそれで終わりなのだが。
一人で抱えきれなくなってしまったのだ。


恋をしたのが初めてな訳では無い。カルデアへ来る前だってそれなりに好いたり好かれたり、ちょっとした恋愛経験はあったのだけれども・・・当然こんなに隠さなければならないような事ではなかった。
 
はあ、ともう1度息を吐き、とぼとぼとロビンを探して歩き出す。

お酒の席でわざわざその話題を出して悩んでくれるほど、私のことを考えて心配してくれているんだ。
そう思ったから、本当はそんなに怒ってなんかいなかった。
ただ、いつかその話がどこかから広がって・・・誰とは言わないが巻きついて燃やしにかかってきそうなあの子とか、もっと悪くすれば本人の耳に入ってしまったら・・・と思うと、今にも泣き出してしまいそうになる。
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