第3章 弐 やっぱり、そうなるよね。
「トシ、どうしても駄目か?」
「駄目に決まってるだろーが!」
やっぱり、そうなるよね。…うん、分かってた。
「近藤さん、やっぱり」
他の人をあたってみます。そう云おうとした言葉が、言葉になることは無かった。近藤さんと云い合いをしているトシさん(?)に遮られてしまったから。
「大体、こんな男所帯に女一人を入れたらどうなると思ってやがる!?」
「ど、どうなるんだ?」
「屯所の規律が乱れるに決まってるだろ!!」
「あ、あの!」
この状況にいたたまれなくなってしまった私は、近藤さんの後ろからつい大声をあげてしまった。
近藤さんの後ろに立っていてあまり私の姿が確認できなかったらしいトシさん(?)は、突然声をあげた私を思いっきり凝視した。…が、暫くすると元の通りに眉間に皺を寄せていた。
「…近藤さん、こいつは…」
「ああ、さっき説明した通りだ。どうにも帰る家が無いらしくてな。この子の身元をうちで預かりたいんだが」
「──…」
何故だか、トシさん(?)の顔がさっきまでの嫌そうな顔ではなく、酷く困ったような顔に変化しているような気がした。
「…あんた、名は」
「! 夜風月です」
「そうか。…帰る家が無いんだったか?」
「…はい」
「………、はあ。俺は新選組副長、土方歳三だ。──これから宜しくな、夜風」
始めてみる土方さんの笑顔はとても綺麗で、やっぱり歴史の通り美人だな、と思ったりした。
「はい!宜しくお願いします」
無事(?)、暫く新選組に身元を預かられる事になった私。隣では、近藤さんが凄く喜んでくれていた。
そんな中、頭を過るのは一抹の不安。
これから、上手くやっていけるであろうか。