第3章 俺だって欲しい……
何だ、コレは?
「猫丸……」
「猫丸、朝だよ。」
「早く起きないと遅刻するぞ?」
俺の声の目覚まし……なのか?
「そうやって寝たふりをして…悪い子だ」
「悪い子には、こうだ!(ちゅっ)」
「起きないとキスだけじゃ済まさないよ」
「(ちゅっ)……猫丸、起きないという事はこの先のお仕置きを期待しているのかな」
「(ふっ)覚悟はいいかな?起きない君が悪いんだよ」
ななな!!何なんだ???お仕置き!?覚悟!?俺は一体何をしようとしているんだ?あぁ違う、俺じゃない!俺の声で何をしているんだ!?
………はっ!落ち着け俺!まずは冷静になって考えるんだ!
これは猫丸のスマホアプリ……だよな?猫丸は毎朝俺の声の目覚ましアプリで目覚めていたのか?俺がいるというにアプリなんかに!!!!
……いや待て、ということは、この前の猫丸のアレは俺をアプリと勘違いしていたというのか!?くっ……よくも俺の猫丸を唆してくれたな!!!!
まさか、俺が自分自身の「声」に嫉妬するとになるとは……
しかし、どうして猫丸は俺がいるというのにこんな物をインストールしたんだ?いつも仕事が忙しいのを理由に一緒に居られないからなのか……?だとしたら寂しい思いをさせてしまっているな……
だが、寂しい思いをしているのは猫丸だけではなく俺も同じだ。仕事とはいえ長期間会えないのはつらいから……せめて声だけでも聞きたいと思う猫丸の気持ちはよくわかる。俺も忙しい時ほど穏やかな声で猫丸に起こしてもらいたいという願望があるからな……。
目覚ましアプリ……か。まさかとは思うが、「猫丸」のがあるなんて事はないよな?