どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第5章 素性
『だから、少しでも早くあたし自身を納得させるために、アンタの案内でハンター試験会場へ行くつもりでいる。けど、同じくらい、アンタがこのピエロとどう向き合うつもりでいるかも気になり始めてきたわ。だから』
彼女は気持ちを切り替えるように、ふぅ、と一息吐くと、
「ヒソカ」
と隣にいる彼を、真剣な面持ちで見上げた。
「あたし、アンタと試験会場には行かない。けど、それまでもう暫く、近くに居ることにしたわ」
サキはヒソカの目を、じっと見つめる。
彼は目を一度僅かに丸くし、すぐに細めた。
「意外だな。てっきり、君には逆の提案をされるものだと思っていたよ」
「当然、最初はそうするつもりだったわよ。けど、状況は変わるもんでしょ?あと」
サキは片側の口角をクッと上げる。
「君じゃないわ。サキよ」
路地裏を吹き抜ける風がサキの髪を拐うので、彼女は右手で髪を梳かした。
指先ほどの大きさの真っ黒な煤が、ビルの合間に覗く眩暈がするほど真っ青な空を、大勢の仲間と舞っている。
足元近くまで降りた煤は、ヒソカとサキの間を縫うように這った。
「サキ、だね。改めてよろしく。そうだ、仲良くなったお祝いも兼ねて、ランチは焼き肉にしようか」
「は?アンタどーゆー神経してんの?」
「ブラックジョークだよ」
「センスなさ過ぎ」
奇妙にも和やかな雰囲気の中、私達は今だ燃え盛る豪邸を、狭い路地裏から眺めた。