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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第5章 素性


私は反論しかけたが、サキが不敵に笑ったような気がして口ごもった。

『じゃあ、検証するしかないわよね。まずは会場への道案内から』

サキが、『いいわよね?』と念を押す。
私は、はい!と言いかけたが、ヒソカの事が思い浮かび、あっ、と閉口(と言っても口は動かせないのだけれど)した。
そうだ、私が指導をお願いしたのに、もう逃げないと言ったのに……彼の提案を断ることは、彼から逃げることになるのだろうか?いや、それとこれとはまた別の話?と言うか、身体はサキのものなのだから、私が彼女の行動を制限するのは妙な話だ。けど、やっぱり──

『ストップ、ストップ!考えんの中止!!』

サキが脳内で声を上げる。なぜか分からないが、角に追いやられ潰されたような気になった。

『なんでそう、堂々巡りしたいワケ!?』

「サチは真面目過ぎるからねぇ」

「ホントそれ!」

と、勢い良く発してからサキは『ん?』と思う。
隣ではヒソカがくつくつと肩を震わせていた。

「……アンタ今、読心術でも使った?」

「サチを知る人間が君の顔を見ていたら、きっと誰でも分かると思うよ」

当然の事のように言うヒソカに、かあっと顔が熱くなる。
穴があったら入りたい、と私達の心の声はユニゾンした。





「イルダさん」

そう間を置かず看護師に呼ばれた私達は、手術室前の少し奥まった待ち合いまで案内された。
程なくして聞こえ始めた数台の救急車のサイレンは、この病院の敷地内で止んでいた。
天空闘技場のエントランスで倒れる彼らが到着したのであればといいのだけれど……などと思っていると、ヒソカが唐突に「飲み物でも買ってくるよ」と言って出掛けて行った。
それがおよそ3時間前。彼は、今も戻って来ない。

ただ、時間がたっぷりあったおかげで、サキとは大分打ち解けた気がする。

『湧き立ての天然水掬いに、南アルプスまで行ってんじゃない?』

面倒臭そうにサキが言った。
私はうっかり、ヒソカが山頂で「う〜ん、コレコレ♡」とうっとりしながらペットボトルに頬擦りする想像をしてしまった。
いや、無い。これは流石に無い。と、映像を掻き消す。
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