第8章 ショッピングする管理人
今日は仕事が休みの日。
私は、買い物にきていた。
「(靴も欲しいし、スカートもたまには買いたいし、ニットも欲しいな…)」
先日お給料日だったのと、例のCMの出演料も振り込まれていたので今月は思った以上に収入があったのだ。
なので今日はとことん買い物してやるつもり。
…CMといえば、結局ツキノ寮の全員に私の出演がバレてしまい、皆から驚きの電話やメール、ついでに部屋に突撃されたりもした。
友達からも何人か連絡が来たので、とりあえずオーディションやっててノリで受けたら受かったから今回だけ出演したって適当に言って誤魔化しておいた。
まあ、始さんからCMの評判がとっても良いって聞いたし、一生に1度の思い出としては良かったと思おう。
「(あ、この靴可愛い)」
適当に入った靴屋さんで、私はレースアップのヒール低めのパンプスを手に取る。
ロールアップしたパンツに合わせてカジュアルに履いても可愛いし、ヒールだからスカートに合わせても可愛いよね。
グリーンが1番に目についたけど、やっぱ合わせやすいブラックかなあ…
でも、いつも合わせやすさで選んじゃって黒とか白とかになりがちなんだよな…
「いや、これはブラックもいいけど、グリーンっしょ」
すると、隣から声が聞こえてきた。
もしこの声が店員の発する声なら、接客態度の悪さにびびる所だけど…
私はこの声を知っている。
「ここ、レディースのフロアなんですけど」
「いや~メンズフロアに行こうとエスカレーター登ってたら、こはねが居たもんだから」
そう、私の隣に立っていたのは店員ではなく…
伊達メガネとマスクを装着し、ニット帽を深めに被った陽が居た。