第1章 いつもと変わらぬはずの日々
夕食を作って、ほかのメイドたちがごはんを食べている間に夜会のお誘いの返事を書く。
奥様は基本的にどんな方の夜会でも参加されるのでお返事を書くのは簡単。
返事の手紙を書いてると部屋のベルがなった。
奥様の部屋からなのが分かったので、紅茶をもってお部屋に行こう。
今日は部屋に来なくていいって言ってたのにどうしたのだろうか。
「奥様、お呼びでしょうか?」
「あぁ。アリスね。入っていいわよ。」
部屋に入ると奥様の髪の毛が短くなっていた。
長くて綺麗だった赤い髪が、部屋のそこら中に散らばっていた。
散らばっている赤い髪には少し色が濃いのがあった。
奥様の髪の毛は薔薇のような赤だったはずなのに。
私は気づいてしまった。この髪についてるのは血だ。
奥様を見るが大きな傷はない。
ということは、これは知らない人の血。
私は恐ろしくなって、声も出せず固まってしまった。
「ビックリしたでしょう。アリス。
でも、このことは誰にも話さないでくれる?
信用できるあなただから、ここの掃除をお願いしたのよ。」
恐ろしい。
ただ、その一言につきる。あんなに優しい奥様が。
舞踏会の花形 マダムレッドが私の知ってる赤と違う血(アカ)で染まっている。
「はい、畏まりました。」
怖くて、恐くて、こわくて。
笑顔になれないし、いつものように掃除が進みそうではない。
奥様を誰が何をこうさせた?
全く、わからない。
掃除が終わったらすぐ、部屋に戻ろう。
紅茶を持ってきたけど、そんなのはもうどうでもいい。
「お掃除が終わりましたので、これで失礼致します。」
やっと、やっと、終わった。
掃除道具と髪の毛が入った袋を持ち、廊下を走る。
少しでも早くあの部屋から離れたい。
早く外の空気を吸いたい。
やっとの事でついた、外。ごみ捨て場だけど屋敷にいるよりは落ち着く。
外のごみ捨て場に袋を放り込んで、空を見ようとすると召使いの部屋の一つに明かりがついていた。
丁度いい。寝れないからといって少し話し相手になってもらおう。