第1章 高い空
「礼子」
『はい……お父様』
「彼をお風呂に入れてきますね」
ムンズリと頭を掴み、風呂場に連れていかれる様は、痛々しいのにもほどがある。
可哀想に……
でも、助けない……
私も死にたくはないから……
ごめんよ……
「ギャアア」
初めて、同情した……お父様とお風呂に入るのは命懸けだから。
数十分後ーー
ガタガタと震える彼と始終にこやかなお父様がお風呂から上がって来た。
ちょうど、夕御飯の支度が終わっていた。
「ほう……今日はオムライスですか」
「おむらいす?」
『これのことですよ』
まだ馴染みのない食文化を取り入れたのは、なんとなくだ……
食べたいものを作れるのが私の特権だ。
こうして、坂田 銀時と出会ったのである。
ー第1章終ー
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