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私ヒーローじゃないんですが【ワンパンマン】

第6章 第5話


「ひっ……」
「君、名前は」
「は、ハイドです」
「いくつだ」
「17です」
「何故泣いている」
「何故って……死にたくないから……家族に会いたいから……」
ぽつぽつと語る彼はどうやらなんらかの理由で理性が保たれたのだろう。しかし若干思考が幼稚化しているように思える。
「なら、来い」
ハイドの腕を掴み強引にヘリの方へと引っ張る。抵抗されようがなんだろうがとにかく引きずって、連れていく。
「あの、離してっ……!」
「離せば君は私の仲間に殺されるがいいのか?」
彼は抵抗するのをやめた。恐怖に怯えたままただ私に引きずられている。ヘリに着くとパイロットはハイドを見るなり困惑した様子で訪ねてくる。
「あの、そちらの怪人は……」
「彼は怪人じゃない、人間だ。保護する。」
「え、えーっと怪人研究課に連絡しておきます」
「助かる」

再び警察庁に戻り、怪人研究課のやつにハイドを引き渡す。とても怯えて警戒していたが全く信用していないわけではないようで素直に従ってくれた。研究所に向かう車まで見送ると白衣を着た武器開発課の人が資料を脇に抱えて待っていた。
「どうでしたか、冷却砲とアームは」
「問題ないけど、私アームはアタッシュケース型って言わなかったっけ?」
「ここ最近怪人が集団で出現しているので偵察機があると便利かと……お気に召しませんでしたか」
眼鏡をクイッと動かす仕草をする彼。この仕草は落ち込んだ時に出るものだ。
「いや、これはこれでいい。ありがたく使わせてもらうけど……ポチって何? もっといい名前無かったの?」
「日本では犬はポチと呼ぶらしいので付けてみたのですが」
「うーん、それはひと昔前だねぇ」
今時ポチなんて名前付けるところなんて少ないような少ないと思うのだが実際のところどうなのだろうか。
「そうでしたか。あ、わたくしは用事がありますので失礼します。また何かありましたら遠慮なく声をかけてください」
「ありがとう。そうするね」
そう言うと彼は急いで研究室に走る。何も走る必要ないとは思うのだが。
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