第6章 ワンピース―――ロロノア・ゾロ
「何だここは……?」
チョッパーと別れた俺は荊が何かを囲んでいるかのように生える場所に来ていた
『………誰かそこにいるの?』
「!」
中から女の声が聞こえてきて俺は咄嗟に見聞色の覇気を使っていた
だが、中の女は鍛えた様子もなく声も怯えていた
『………あの?』
「お前は誰だ?その中に住んでんのか?」
荊は本当にこの世のものかと思うほどに太く、風のせいと思えないほどうねって侵入者を拒もうとしているようだ
『私の名前はみずきです。生まれたときからここに一人で住んでいます。あなたは?』
「俺はロロノア・ゾロ。海賊だ」
“海賊”
その言葉を聞いて恐れないものはいない
だが、中にいる女、みずきは違った
『かい……ぞく……?』
「お前、海賊を知らねぇのか?」
『ここには本しかなくて……新聞もないから……』
「本当に今まで一人だったのか?」
一人なら字が読めたり、人と話せるのはおかしくないか?
『昔、一人だけここに来てくれる男の子がいて、私に字を教えてくれたり、私に言葉を教えてくれた。
でも、その子は私に関わった罪で………死刑になったの………』
「……!?たったそれだけでか?」
『うん。だから貴方も早くここを離れて―――』
「悪いが俺は海賊。この島の決まりに従う気はねぇし、その義理もねぇ。俺は勝手にここにいさせてもらう」
『ふふ、変な人』
俺はどかっとその場に座り、そこにいるであろうみずきの方を見た
『ねぇ、海賊って楽しい?』
「ああ。そうだな」
『お話、聞かせて?』
聞く前からみずきの声は弾んでいて俺は薄く笑った
「俺が海賊になったのはある島でのことがきっかけだった」
おれは気づいたらそう話し出していて自分でも驚いた
何も知らないみずきに同情したのか、ここから離れたくなかったのか、このときの俺はまだわからなかった