第5章 黒子のバスケ―――黛千尋
黛side
松長の手を引いて目的の場所を目指していると、松長の名前を呼ぶ声が聞こえた
後ろの松長の足が止まり、俺も振り向く
すると、松長の向こう側にサッカー部のキャプテン、つまり松長の彼氏がいた
俺とそいつの目が合うと、そいつは松長を睨み付けた
「おいみずき!彼氏がいながら他の男とお出掛けか?」
やめろ………その汚い口でこいつの名前を呼ぶんじゃねェ………
俺の中で怒りが沸々と沸き起こる
手を離そうとする松長を逆に引き寄せ抱き締めた
『……っ!黛っ…!』
松長が抗議の視線を向けてくるが俺はこちらに歩いてくる男を見た
「俺が無理矢理誘ったんだよ」
「はぁ?誰だお前?」
「洛山高校3年バスケ部。黛だ」
「聞いたことねぇな。俺のみずきを返せよ」
「おいおい。俺のってのは間違いだろ。
―――松長」
不安そうに俺を見る松長の頭を撫でて耳元で呟いた
「ここの屋上で待ってる。―――頑張れよ」
それだけ言って俺はその場を離れた
もし、松長がアイツと別れないなら、それまでだ
松長がアイツと一緒に居たいって思うなら、俺に口出す権利はねェ……
俺は屋上に着くと、愛読書を取り出した