第5章 黒子のバスケ―――黛千尋
みずきside
彼氏が他の女の子と居るのを見た日から、一週間ほど経った
だが、彼氏からフラれる気配ないし、それをいいことに私からフる勇気もない
そんなとき
~♪~♪~♪
携帯が鳴り開いたら、黛から着信があった
いつの間にか登録されてたんやけど、まさか向こうから連絡してくるとは……
『はい?何?黛』
「よう。ちょっと付き合えよ」
『………は?』
『何処やねん……影薄すぎ……』
あの後、黛は買い物に付き合ってほしいと言ってきて、今ショッピングモールに来ているのだが……
『影薄いくせに何でこんな人混みに……』
そう悪態をついていると
ぽん
『ぎゃっ!?』
いきなり肩を叩かれて勢いよく振り向くと黛が立っていた
「色気のない声だな」
『うるさいわっ!』
力一杯叩くと流石に痛かったのか、そこを押さえて呻く
「……ったく、さっさといくぞ」
『あっ!ちょっ、待って!』
追いかけるが、そこまで身長の高くない私は人混みに埋もれてしまう
その時、
ぐいっ
「ほら、こうしたら迷子にならねぇだろ?」
黛は私と手を離れないように恋人繋ぎで繋ぐ
その動きがあまりにスムーズで顔が熱くなる
こんなこと彼氏にもしてもらったことないし、これじゃ私も浮気してるみたいやん……
そう思ったが、私はその手を離すことができんかった
思えば、彼氏とは恋人らしいことをした覚えはあんまりない
最初から、遊びやったんかな……
それなら、何もされてないのは不幸中の幸いやったんかもしれへん
なんで黛は私を誘ったんやろ……
そんなことを考え、黛の後を手を引かれながら歩いていると
「みずき!」
その声が私を現実に引き戻した