第5章 黒子のバスケ―――黛千尋
それからどれぐらい経っただろうか
まだ、松長は来ない
俺は本を閉じ、立ち上がった
ドアに手をかけたその時
ドガッ
「ぐはっ!?」
『えっ!?』
俺ではない誰かが開けたドアによって、ドアノブが俺の腹にめり込んだ
「ぐっ………」
あまりの痛さにその場に踞る
『黛!?ごめん!』
だが、ずっと待ってた女の声が聞こえて、俺は松長を抱き締めた
「何すんだくそアマ………っ」
『ご、ごめんっ!まさか、目の前におるなんて思わんくて……!』
俺は言葉を返さずに抱き締め続けた
「……で?アイツは?」
痛みが引き、座り直して隣に座る松長にそう問う
『フッてきた。ありがとう。全部黛のお陰やね』
「別に、俺はなにもしてねぇよ」
『そんなことあらへん。黛が居らんかったら多分まだズルズル引きずってた』
「バカだからな、お前は」
『バカ言うな』
少しむくれる松長の頭を撫で回す
「でもまぁ、そんなバカを好きになっちまった俺も相当バカだけどな」
そう言うと顔を染める松長
その後頭部に手を回して引き寄せる
ギュッと目を瞑る松長の唇を塞ぐ
「お前、キスしたことないのか?」
『な、ない!悪いっ!?』
「いいや、俺が初めてってことだろ?」
『ま、まぁ……そうやな……』
「それなら―――」
コツン、と額を合わせて俺は微笑んだ
「―――お前のハジメテ、全部奪ってやるよ」
『………っ///』
耳まで真っ赤にする松長の口を塞いで舌を侵入させる
松長の舌を見つけて絡ませ、吸えば体がびくん、と反応する
解放すれば、ハァハァと息を切らしている
「ハジメテの感想は?」
そう聞くと恥じらいながらも
『気持ち……よかった……//』
「それはよかった」
俺はそう言ってもう一度松長の口を塞いだ