第5章 黒子のバスケ―――黛千尋
黛side
とん
右肩に重みがして本からそっちに視線を向けると松長が眠っていた
『………すー………すー……』
寝ていると普通に美人な女子高生
口を開くと関西弁が飛び出してくる
影が薄くて、人と関わりのない俺でもクラスでは人気者の松長のことを少し目にかけていた
授業中はいつもノートに絵を描いているくせに、頭はいい
定期テストでは学年トップ3の中には入っているほどだ
「つーか、………これじゃあ本も読めねぇじゃねぇかよ……」
右肩に気がいって本の内容が入ってこない
いくら俺でも健全な男子高校生なわけで、この距離に女がいたら変なことを考えたりもする
松長からは柔軟剤か香水か、ほんのりと良い匂いがする
「あー、クソ……っ」
こんなことなら残るんじゃなかった………
今更本を読む気にはなれなくて俺は空を見上げた
空は雲1つない青空が広がっていた