• テキストサイズ

色々短編集!

第5章 黒子のバスケ―――黛千尋


黛は何でもストレートに意見を言ってくる
少し皮肉っぽいところもあるが、それが何故か心地よかった

「……で?何で泣いてたんだよ?」

『それ……気になる?』

「………まぁな」

『だよね。………実は――』

彼氏のことを話すと無表情の黛の顔が少しずつ険しくなっていく

「んなクズお前からフッてやったらいいだろ」

『………ん。でも………』

「まだ好き……か?随分お人好しだな、お前」

『なっ……!?そんな風に言わんくてもいいやん!』

「事実だろ。そうやって相手に優しくしてるばかりじゃ利用されるだけだぜ?」

『そんなん……黛にはわからんやろ!?』

「……」

『なんやそれ?』

黛が無言で私に見せたんはさっきから持っている一冊の本
アイドルみたいな女の子が描かれた表紙で私は見慣れないソレを食い入るように見た

「ライトノベル。今読んでるのは恋愛もの」

そう言われれば、全く本を読まへん私は言い返されへん

『………ちょっとムカつくわ』

「何でだよ」

『……わからんけど、ムカついた』

「あっそ」

『やから何か奢って』

「黙れ」

即答でそう返してきた黛は立ち上がった

『え!?もう行くん!?』

「は?後少しで授業始まるだろ」

『何やえらい真面目やなぁもうちょい付きおうてや』

「はぁ?…………ったく、しょうがねぇな………今日だけだぞ」

『おおきに』

ため息をつきながら再び座り直す黛を見て、意外と優しいやん、と思う
だが、それからは黛は私の相手はしてくれんくなって本を読み始めてしまう



やっぱり優しくなんかないわ

もうちょっと気ぃ遣えよ、あほ


そう思いながら壁に背を預けて少し拗ねているうちに泣いたせいか瞼が重くなってきた


/ 79ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp